地域とのつながり

我が地区では古くから和紙を作る文化が伝わっている。後継者がいなくて続かなくなるのではないかとの懸念もあったが、最近ようやく若者が継承してくれることになったそうだ。

うちの小学校は今年統合したのだが、前年度まで旧N校では卒業証書は、自分たちで材料から手作りで作ってきた。もちろん、協力者がいないと出来ないことである。
その偉大な協力者N氏が統合した学校に、「今年も卒業証書を手作りで作らないか」と申入れたそうだが、『町の規格やらなんやらかんやら…』で断られたそうである。
確かに手漉き、それも材料からの作業では時間も手間もかかる。それでいて店に並んでいるものみたいなものにはならない。でもやっぱりオリジナルなのだ。こうぞを蒸して皮をはぎ、木槌でトントンたたき、センイを取り出し、冷たい水の中に手をいれて、ザブザブと紙をすくのである。子ども達の心の中に一生残るだろう貴重な体験である。どこでもここでも出来るもんじゃない。

統合した学校には3つの地区から子ども達が通っている。
我々の年代の意識では、「ひとつの地区=ひとつの学校」であるが、今の子ども達からは、人との交流範囲が広くなり、3つの地区の結びつきが今まで以上に強くなっていくだろう。「3つの地区がひとつのふるさと」といえるだろう。
そのふるさとの伝統文化を地域の人たちと共に後世に継承する(子ども達に教える)ことも「人、子どもを育てる学校」の役割としてあるのではなかろうか。